インフォメーション 〜time now〜


 今回、time nowを担当します、髙田政幸です。宜しくお願い致します。

 突然ですが、元メジャーリーガーのジャッキー・ロビンソンという選手をご存じでしょうか。
 今から80年以上前の1940年代にメジャーリーグで活躍した選手で、20世紀のアメリカスポーツ及び社会に非常に重要な役割を果たした偉大な人物の1人です。1940年代のアメリカでは、人種差別の風潮が根強く残っていました。現在のメジャーリーグは様々な国や地域の選手が活躍していますが、当時は白人以外の選手は1人もいませんでした。そんな中、近代メジャーリーグ初の黒人選手となったのが、ジャッキー・ロビンソン選手だったのです。

 彼は、幼い頃からスポーツが得意で大学の奨学金を得るほどでしたが、有色人種を排除する社会の壁が立ちはだかり“黒人だから”という理由で試合に出られないこともありました。そのため黒人だけのチームで野球を続け、持ち前の才能で頭角を現します。そこで、当時のブルックリン・ドジャースのオーナーにスカウトされますが、1つ条件を出されます。それは「差別をされてもやり返さない勇気を持つ」ということでした。ここにはおそらく、単に喧嘩をせず黙って耐えろということではなく、自分の信念を持ち、攻撃してくる者と同じレベルに堕ちるなという意味が込められていたのではないでしょうか。そして、1947年にブルックリン・ドジャースの一員としてメジャーリーグベースボール(MLB)にデビューし、MLB史上初のアフリカ系アメリカ人選手となりました。案の定、彼の存在は差別や偏見の対象となり、地元ファンやチームメイトからも受け入れられるのは難しい状況にありました。そんな困難にも負けず、卓越した才能と品位ある振る舞いは、多くの人々の共感を呼び起こしました。また、単に野球選手としての成功だけでなく、彼の存在そのものが社会に大きな影響を与えました。彼の成功は、人種差別と偏見に立ち向かう象徴となり、アフリカ系アメリカ人にとっての希望となりました。その勇気ある行動は、人種間の壁を打ち破るきっかけとなり、この後に起こる公民権運動において重要な一歩となりました。



A life is not important except in the impact it has on other lives.
(他人の人生に影響をもたらしてこそ、人生には意味がある。)


 彼の残した言葉や功績は、私たちが人生で直面する様々な困難や障壁に対処する際の重要な教訓を遺しています。時には悩み苦しむこともありますが、周りに流されず、自分(たち)を信じ、困難を乗り越える力の重要性を理解することで、組織やチーム全体が成功に向かって、共に成長し、発展していくことができると考えます。ちなみに、ジャッキー・ロビンソンは、1972年に53歳の若さでこの世を去りましたが、遺族が基金を設立・運営するなど、彼の野球界と社会への影響は今も続いています。そして彼の背番号「42」番は唯一、MLB全球団を通じた永久欠番に指定されています。

 話は変わりますが、私は現在ケニアへ赴任中です。季節は雨季ですが、特に今年は、エルニーニョ現象の影響によって、断続的な雨と洪水による壊滅的な被害が出ました。被災地では、農地や地域インフラに壊滅的な被害が生じています。洪水がもたらす被害は、直接的な怪我や避難にとどまりません。洪水の影響で、コレラのような感染症や、蚊の繁殖地が増え、マラリアが発生する可能性も高まります。一日も早く復旧できることを願っています。




令和6年5月 光心会 総務部長 髙田政幸