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 6月に日本に帰国しました。日本は、前線の位置によって暑かったり寒かったりしていましたが、とうとう梅雨入りしましたね。梅雨明け前には、私はケニアに居るでしょう。

 ケニアで、BBCニュースを観ていると日本の衝撃的なニュースが流れました。川崎殺傷事件です。未来ある外務省の男性と私立カリタス小学校に通う児童の尊い命が、わずか数十秒で奪われました。俗に「拡大自殺」とも言われているような今回の事件でも、犯人の生い立ちや育った環境から現在に至るまでの経緯などが連日報道されています。その中で、「孤独に追いやった社会にも問題がある」と発言しているコメンテーターがいました。確かに、引きこもりへの支援の在り方や受け入れには問題や課題があると思いますが、「自己責任」とまでは言いませんが、51歳ですよ。どこまで身内や国が責任を持てばいいのでしょうか?犯罪に至る原因は様々です。複雑な家庭環境や社会的つながりの欠如、社会への不信感や不満、犯人自身の孤独や絶望もあるとは思いますが、先ずは「人の命を奪った罪人」であること、「支援」や「社会」の問題でなく「命」の尊さについて討議されるべきです。最近、憤りを覚えると同時に心が虚しくなるような事件が日本では続いています。これらを見ていて考えるのは、何よりも「教育」の在り方がとても肝要だということです。いつからか日本人は、権利や自由をはき違えて誤った方向に向かっている気がしてなりません。

 さてさて、少しは面白いお話もしましょうね。新一万円札の顔となる日本国資本主義の父、渋沢栄一さんですが、この方も強い理念をお持ちでした。「目的には理想が伴わねばならない、その理想を実現するのが人の務めである」と名言を残しています。つまり、これは「人間として正しいことをしながらビジネスをやっていく」ということで、孔子の思想に基づく儒教の教え「神への信仰ではなく、人としての在り方」の影響を思わせます。でも、このお方なかなか破天荒な人生を送られています。時代が時代なら、社会から抹消されるような人生を歩まれているのです。その破天荒な人生のエピソードの一つを紹介します。時は明治31年(1898年)、札幌麦酒株式会社(現在のサッポロビール)が危機に遭遇していた時に、専務取締役だった植村澄三郎氏が渋沢さんの居場所を突き止め訪れたのが渋沢さんの愛人宅でした。渋沢さんは、姿は現さず、自分で「かようなところに、渋沢のおるべき道理は御座いません。御用がおありなら、明朝宅のほうをお尋ねください」と言い居留守を装ったといいます。さすが、68歳で子供を授かるだけのことはあります。偉業を成し遂げただけでなく、人間臭さの漂う生き方にも魅力を感じずにはいられませんね。

 ところで、遡ること20余年前(開院当初)から、武居院長と私もモットーを掲げていました。武居院長は「仕事は厳しく、日頃は仲良く」で、私は「仕事も遊びも一生懸命」でした。それぞれの個性が滲み出ていて、面白いでしょ?これは今でも変わっていません。

 それでは最後に、「ヘバーデン結節」という病気のお話をして終わります。指の第一関節を中心に、神経が圧迫されることにより針に刺されたような強い痛みや腫れを伴う原因不明の関節症です。中年以降の女性に多いとされています。心当たりがおありなら、整形外科などでの検査や治療をお勧めします。



6月タイムナウ 岩根

Keyword:モットーと人生訓