インフォメーション 〜time now〜


 今回のtime nowを担当します。
当会の倫理委員会、言語聴覚士の田森です。よろしくお願いいたします。

 今回は、“リビングウィル(Living Will)”についてお話をさせていただきます。

 リビングウィルとは、判断能力が十分なうちに自身の最期をどのように迎えたいか、書き記しておく「生前の意思表示」のことをいいます。積極的な延命治療や平穏死など様々な選択肢がある中で、突然の病気や事故などで意思表示ができなくなり、回復が見込めず最期が近づいてしまった時でも、“リビングウィル(Living Will)”があれば、ご本人の希望をご家族や医療者に伝えることができます。当然、ライフステージなど様々な事情で、希望が変わった場合には、撤回や変更も可能で、何度でも書き換えられます。年の初めや誕生日に気持ちを確かめることが推奨されています。
 当院では、患者さんやご家族と一緒に治療と向き合うために、リビングウィルについてお話ししてきました。また、リビングウィルと併せて治療方針や延命治療に関するご希望もお聞きしてきました。人の生命や死と向き合うことは、医療資格を有す私たちでも容易ではなく、医療倫理観が培われていなければなりません。そのため、今年度、倫理委員会では、人それぞれ異なる「人生の最期の迎え方」について一緒に考え、寄り添えるよう学びを重ねてきました。以下に参考にした資料や取り組みを紹介しますので、みなさんが“リビングウィル”について考える契機やその際に参考になればと思います。

① 『アドバンス・ケア・プランニング(ACP):愛称「人生会議」』
 これは、意思を決めることにこだわらず、自らが希望する医療やケアを受けるために大切にしていることや、望んでいること、どこでどのような医療やケアを望むかを自分自身で前もって考え、家族や医療・介護の関係者など周囲の信頼する人たちと繰り返し話し合い、共有する取り組みです。これらは、厚労省のホームページで紹介されています。VTRや座談会のかたちで紹介されていますので、とても分かりやすいです。

② 『エンディングノート~元気なうちの終活~』
 大分市で発刊されている自分の想いや希望を書き記しておくためのノートです。大分市長寿福祉課や各支所において無料で配布されていますので、興味のある方は、ぜひ手に取ってみてください。

 最後に、倫理委員会では、リビングウィルについて多くのみなさんに知っていただくために、ポスターを作成中です。厚生労働省が作成した人生会議のVTR・座談会や大分市長寿福祉課が発行する『エンディングノート~元気なうちの終活~』もご紹介していますので、出来上がり次第掲示にてお知らせいたします。それぞれ、URLやリンクを掲載させていただきますのでご参照ください。皆さんの尊厳ある人生の一助になればと思います。



●厚生労働省「人生会議」してみませんか
 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02783.html
●大分市エンディングノート
 https://www.city.oita.oita.jp/o081/kenko/fukushi/endingnote.html


令和5年2月 倫理委員会 田森有理