インフォメーション 〜time now〜


 今回time nowを担当します、どんぐりの杜クリニック言語聴覚士の清原です。

 今回は、現在ハマっている「刺繍」を通して、気づいたことなどをお話しします。

 私は小学生の頃から現在に至るまで吹奏楽を続けてきました。学生時代は部活に明け暮れ、大人になってからも、月に何度か練習に集まり、のんびりと演奏することを楽しみとしてきました。しかし新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、状況が一変してしまいました。密室でマスクを外す必要のある演奏環境や、所属する団体の中心メンバーが高齢だったために、集まることが次第に困難になってしまったのです。

 「このままではいけない」と、新たな趣味を探していたところに出会ったのが「刺繍」です。SNSで紹介されている動画を見つけ、簡単に道具も揃うということを知り、見よう見まねで始めました。元々細かい作業を黙々と進めることが好きだったこともあり、すぐに熱中し、窓の外が明るくなるまで没頭する日もありました。

 せっかく作ったのだからと、恥ずかしい気持ちもありながら作品を披露すると、「上手だね」「よくできてる」と、うれしい言葉をたくさん掛けてもらいました。普段なら褒められたり感心されても、素直に受け止められずにはぐらかしてしまいますが、今回は褒められたことを純粋に喜ぶ自分に気づき、驚きながらも嬉しくなりました。今では、保育園で飾る作品や友人へのプレゼントに療育の教材など、刺繍は仕事や生活の中でも活かせる趣味となり、作品を作るたびに自分の自信にもつながっているように思います。

 私は仕事で子どもたちのいろいろな場面で、その都度適切な声掛けを行います。初めて何かができた時、自信がなくてためらっている時、悪いと思いながらついついイタズラをしてしまう時…等々。その際、掛ける言葉には細心の注意を払っています。言葉には大きな力があり、時には強く背中を押したり、逆に好奇心や可能性を奪ってしまうこともあります。自分の言葉で相手の振る舞いや表情を変えてしまうことを、私たちは自覚しなければなりません。それは子どもが相手の場合に限らず、共に働いている職員同士でも同じだと思います。言語聴覚士として、相手が今欲している言葉、相手に今必要な言葉をいつも考えながら、これからも精進していきたいと思います。


令和4年10月 タイムナウ 言語聴覚士 清原