インフォメーション 〜time now〜


 今回、time nowを担当します諏訪の杜病院、リハビリテーション部作業療法士の渕上 怜央菜です。よろしくお願いします。

 私は諏訪の杜病院に入職し今年で2年目となります。入職前の2月頃から新型コロナウイルスの感染が拡がり、社会人になってからは、マスク着用や感染予防が必須の世の中となりました。この感染予防対策のマスク着用により、加齢に伴う難聴などで耳が聞こえづらい高齢患者さんなどとコミュニケーションを取る際に、表情や口の動きを確認することが難しく、通常よりも大きな声で話をしないと伝わらないという経験をしました。新人の頃は、緊張や不安が強く、声が小さくなることが多々ありました。そのため、話が患者さんに上手く伝わらず、何度も説明することになり、患者さんにも負担をお掛けしたと思います。

 実は、学生時代に私は手話教室に通っていたので、聴覚障がいを持つ方とコミュニケーションを取った経験があります。手話には、相手の口元の動きを確認して理解する「読話」というものがあります。手話と読話の両方を同時に活用することで、より正確に理解ができます。ですから、互いが読話をしない状態で会話をすると、上手く意思疎通ができませんでした。

 この経験を持つ私が、コロナ禍のマスク着用により聴覚障がいを持つ方が、口元の確認ができず、コミュニケーションに支障が出て困っているというニュースを見ました。生活様式が変わり、日常的にマスクを着用するため話が伝わりづらく、中には積極的に会話をしなくなる方もいるそうです。聾学校では、このような事象の対策として、口元の見える透明シールドのマスクを使用して授業が行われていました。筆談、メモ機能の使用、音声文字変換アプリなど、多様なツールを選択して駆使することで、コミュニケーションを円滑にするということを、教えられ考えさせられました。

 最後に、現在のようにマスクを着用して会話をする際に、声の大きさは勿論のこと、表情やジェスチャーなど非言語的コミュニケーションも私は大切にしています。患者さんは、身体的な制限だけでなく、不安やストレスをたくさん抱え、様々な状況下に置かれています。少しでも患者さんに寄り添い、自身の経験も生かした最適な支援のできる作業療法士となれるよう精進していきたいです。


令和3年11月 タイムナウ 諏訪の杜病院 作業療法士 渕上 怜央菜