インフォメーション 〜time now〜

  平成21年3月31日、新卒で入社し23年勤めた前職の仲間たちに向かい退職の挨拶をしている自分がいた。

 ついその3ヶ月前に、とある病院関係者の方から転職の話を頂いたのであるが、そのときは転職する理由が見つからなかった。

  仕事に不満があるわけでもないし、それなりのポジションも築いた。いまさら全くの異業種へ転職をし、いい歳のおじさんがゼロからの出発はないだろう?…等々、何度考えても否定的な答しか浮かばない。妻にチラッと「転職を考えてるんだけど…」とつぶやいてみたが、「給料が減らないならご自由に」とつれない返事であった。

 一方で、何か新しいことをやってみたいという思いがどんどん膨らんでくる。
元来何でもやってみたがりの性格であり、前職でも職種や勤務地が変わるたびにわくわくした。また、どのような仕事であっても人並み以上にこなしてきた自信もあった。

 最終的に諏訪の杜病院でお世話になりますと返事をしたのが転職の話を頂いてから1ヶ月ほど経った頃だったと思う。最大の理由は、やってみたがりの性格が勝ってしまったことである。

 平成21年4月1日、意気揚々と病院の門をたたいた。
  今思うと顔から火が出そうであるが、転職当時は「俺ならできる」くらいに思っていた。しかしながら少しずつ時が経つにつれ「何がわからないのかがわからない」自分がいた。素人が事務長などという要職に就くこと自体無理があったと痛感した。希望に燃えていた炎は風前の灯となっていた。

 逃げ出したい思いにかられていたとき、昔、ある人から言われたことを思い出した。
 「問題が起きたとき、失敗したときは怒られようが叩かれようが我慢しろ、お前の長い人生に中では小指の先ほどの小さな出来事だ」と。そして、こうも言っていた。「でも問題から逃げるな。逃げたら引きずる。最後に笑えない」とも。
 確かに社会に出て以来、幾多の失敗をし何度も怒られ大恥もかいてきた。しかしよくよく考えてみれば、「今となっては小さなこと」になっていることは多い。

 かっこ悪くてもみっともなくても、とにかく踏ん張れば道は開ける。そうして時が流れて「今となっては小さなこと」になっていく。これが成長だ!。

 石の上にも3年とはよく言ったものである。いい歳のおじさんがゼロからの出発をし、今やっとレポート1枚程度のことが書けるようになった。
 自分の歩んだ道を振り返ることで皆さんの心の中に一石を投じられれば…と思い、筆を執ったが正直ちょっと美化しすぎた。
 文章を書いていると、いつしか自分がヒーローになった気分になる。さも自分ひとりですべての苦難を乗り越えたように脚色してしまったが、本当は仲間に支えられ、慰められての今である。
 諏訪の杜病院に集う仲間たち、外から支えて下さっている関係業者の方々、私にかかわるすべての方々に感謝!感謝!

 みなさん本当にありがとう そしてこれからもよろしく


平成24年 3月10日 吉武健治(事務長)