インフォメーション 〜time now〜

 こんにちは。今回、タイムナウを担当させて頂きます一般病棟看護師長米村です。この度の熊本・大分地震で被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。東日本大震災以降、良くTV番組で津波や都心での地震発生シミュレーションを目にしていましたが、想像すらできない強い揺れ(震度7が2回)を経験したと同時に、震源地の移動や活断層のズレで甚大な被害を目の当たりにしました。自然の驚異に驚くとともに恐怖を感じます。地震発生から3週間が経ち震度4以上の余震が100回以上と、未だに終息の気配を感じる事ができず避難生活を送られている約2万人の皆様に思いを巡らすだけで胸が痛みます。また、これから気候の変化や湿度が上がる時期なので感染症(集団感染・食中毒など)、夏型過敏性肺炎、熱中症などが心配です。私たちができるエコノミー症候群などの震災後の二次災害予防の為に、セラピストを熊本に派遣し微力ながらお手伝いをさせて頂きます。

 話は変わりますが、私が20~30歳代の頃、好んで読んでいた文庫本がありました。作家は喜多嶋隆といい、前向きに信念をもって歩んでゆく少女を題材にした著書が多く、それらの本は読むと、読者の元気や勇気が湧いてくるような物語で読み終わると『私もまた明日から頑張ろう』と思ったものです。また、私が好きな本にマーガレット・ミッチェルの『風と共に去りぬ』があります。主人公のスカーレット・オハラはアイルランド系アメリカ人の父親とフランス貴族の家柄の母親との間の三人姉妹の長女として生まれ、輝くような美貌に恵まれ、自己中心的とも思えるような激しい気性、性に対する前向きな姿勢など自我を確立し、アメリカ南北戦争時代に強烈な個性を持ち生き抜いた女性です。度重なる不幸の中で明日への希望を抱き夕日の中に佇み「全ては明日考えよう。明日になればきっと耐えられる。明日は明日の陽が照るのだから…」という台詞が有名です。私は、この主人公であるスカーレットの波乱に満ちた人生を生き抜く姿を描いたアレクサンドラ・リプリーの続編『スカーレット』に胸躍らせ寝る間を惜しんで読み耽っていました。更に、物語の背景となるイギリスやアイルランドの当時の生活様式や文化、衣装などにも思いを馳せ、一度でいいからその場所に「行ってみたい」「暮してみたい」とよく思ったものです。ただ、夢見るだけでアクションを具体的に起こしたわけではありませんが…。長編で読み応えのある物語ですが、お読みになると皆さんもスカーレットに憧れるかもしれません。

 前回号で岩根副院長から検査センター開設の報告させて頂きましたが、約5年以上もの歳月をかけ計り知れない苦労を重ねて立ち上げに尽力した岩根副院長もとても強い信念の持ち主(ケニアプロジェクトに拘わらず公私共に…)だという事を私は良く知っています。岩根副院長は、身近にいる私たちのスカーレットかも知れません(容姿除く!?)。ケニアに限らず、私達が困らない様にいつも何もないところに道を拓き、種を蒔き、芽吹かせる…今月、そんな思いや苦労をして築いたケニアの地に立たせて頂きます。ケニアの空気や風を肌で感じて、文化や慣習など自分の目で見て体感しておおいに学んできたいと思います。岩根副院長も、ケニアで暮らすようになって3年以上経ちケニア通になっていて、運転もされるので観光では経験できない生活に密着した滞在になることがとても楽しみです。

平成28年5月タイムナウ 一般病棟 看護師長  米村 郁