インフォメーション 〜time now〜

 通勤途中に子供の立身出世を祈り、立てた鯉のぼりが青空で勢いよく泳いでいる光景を目にします。鯉のぼりを見ると幼少の頃の子供の日のワクワクした気持ちが蘇り、大人になった今でも気づくと口もとに笑みがこぼれています。

 今回は看護師の離職2%以下の取り組みについてお話ししたいと思います。前にもこの場をおかりして、少しだけ開院当初のスタッフ確保で苦労したお話をしたことがありますが、看護師離職率1%前後を保てるようになった取り組みをご紹介します。

 開院から7年以上もの間、看護の質向上というよりは職種問わずに人員確保に奔走していました。「いつかは、自分の理想とする看護を諏訪の杜病院で患者さん提供する」という決意を固く持ちそれを信じて無我夢中だった頃を思い出すと今でも涙が溢れます。ビジョンを見据え長期的なプロセスを臨機応変に変更しながらひたすら、かつ確実に実行してきました。

 最初に取り組んだのは患者さんにとって諏訪の杜病院が安寧な病院となる環境整備と患者さんのニーズに応えることのできるスタッフを育成する為の環境整備…そこからでした(涙)。ハード面に関しては順調に進みましたがソフト面はそういう訳にはいきませんでした。そこでスタッフ育成や人員確保には大胆な業務改革や人員配置を手始めに行いました。スタッフや患者さんには、反感を持たれ意見されることもありましたが「教養や知的興味を擽る病院」をテーマにして、「仕事も遊びも一生懸命」をモットーに自分を信じ励ましながら少しずつですが焦らずに前進してきました。この場に書き込むことには問題があるかもしれませんが、役職者も本当の意味での患者把握、スタッフの気持ちや日常業務の大変さを自分の身を持って理解できるように看護業務と役職業務を兼任してきました。管理職者に課せられた責任や業務の大変さは私も十分に理解しています。しかしその御蔭で信頼関係が構築できスタッフ達と強い絆が結べたのだと考えています。思い出してください。自分達が一般スタッフだった頃に勤務する病院に対する不平・不満は何でしたか?金銭面、福利厚生やハードな勤務等理由は様々でしたが、上司への文句や噂話って多くありませんでしたか?そんな頃に上司の立場とか意向とか、何となく共感はできても実感はできてないじゃないですか…だからスタッフ間で「何も知らないくせに」「何もやらないにのに口だけ出す」って言ったことありませんか?看護必要度やFIMにも表れない臨床・生活場面で大変な患者さんって多いですよね。知識だけでは対応できない実践力・技術力(例えば血管確保・採血・救急処置など)も信頼関係構築には必須ですよね。物品の位置さえも解らないようじゃ理解も何もないと思います。新人看護研修や看護師の勤務状況改善等も大切だとは思いますが、「現場の看護師達の日々の声」に応えなければ意識改革や看護師不足の現状打破は困難だと痛感しています。看護師不足解消も良質な看護提供のための取り組みも「看護師達の日々の声」「日常の看護」からこそ生まれてくると考えています。理論と臨床の融合の在り方や行政の取り組みもその辺に焦点を絞ることが大切と思います。

 次回は、具体的な取り組み内容の経過と現状を報告し、今後の抱負を述べたいと思います。   

平成23年 5月 岩根美紀