インフォメーション 〜time now〜

 4月になるというのに、春寒の候が続いています。皆様も体調をくずされないようにご自愛下さい。3月に、東日本が未曾有の地震と津波にみまわれ、その被害の大きさに胸を痛めています。被害に遭われ不自由な生活をされている方々におかけする言葉が見つかりません。被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げ、亡くなられた方々やご家族にはお悔みを申し上げます。

 今回は、3月にアフリカへ海外視察に行きましたのでその報告をしたいと思います。これは、日本に在住していた現地の方からアフリカの医療の現状を見た上で力と知恵を借りたいという依頼があり実現したものです。最初にこのお話を院長から伺った時は、治安や感染症等が頭に浮かびとても不安でした。しかし、訪れたアフリカは優しく私を迎え入れてくれました。季節は雨季でしたが、昼間と夜間の温度差はあるものの過ごしやすかったです。感染症に関しては、渡航前に黄熱のワクチンを受けていきました。接種そのものは、さほど痛みも感じなかったのですが、接種後、腕の腫れと痒みが一週間ほど続き、一か月経過しようという今は色素沈着しています。現地で暮らす日本の方々に話を伺うと皆さん予防接種は受けられていないということでした(何のために一万円ものお金を使い痛い思いをしたのか・・・泣)。又、外務省や旅行雑誌に肌の露出は避ける服装が好ましいと書いてあったので完全武装のいでたちで向かいましたが現地に住む日本の方々が、普通に半袖、素足でいたのでとても拍子抜けしました。感染症も地域によっては本当に大変らしいのですが、ナイロビやナクルは運が悪くなければ大丈夫らしいです。治安は時間と場所を考えて行動すれば問題ありません。例えば「ナイロビの公園は近づかないほうがいい」と書いてありましたが、危険なことは全然ありませんでしたし公共施設に限らず個人の御宅まで警備が厳重でした。逆に言えば、それだけの警備が必要なのでしょうが本当に時間や場所さえ考えれば大丈夫です。但し、不慣れな方は必ず複数人での行動をお勧めします。アフリカの壮大な自然や動物と人が共存するところや、お逢いした方々の温かさに癒され心を洗われました。日本では絶対見る事の出来ない風景は本当に素晴らしかったです。

   最後にシビアなお話をします。視察はプライベート病院や国公立の病院を見学させて頂きましたが、病院による医療機器から薬品に至るまでの格差を目の当たりにしました。例えば国立病院ではダイアライザーが2カ月も入荷せず、1本を15回もリユースして使用し、透析を週に3回実施しなければいけないのに2回しか実施できていない状況でした。その為、患者は常時透析不足な状態です。こんな事日本じゃ考えられません。更には、国民皆保険ではないのでお金がなければ十分な透析も受ける事もできない有様です。現代の医療の進歩から考えると貧富の差、受ける医療の差により多くの人が寿命よりも短く辛い人生を送っているというのが事実でした。カルテを拝見し、お話をした限りでは看護の質も決して良くないという印象です。ちなみに機器や薬剤が充実しているのは豊富な資金源を持つプライベート病院の方です。透析一回当たりの金額もまちまちでプライベート病院の方が高価です。 このような事実を知り、私にもできる事がきっとあるはずだと模索検討中です。政治的な問題等も大きく関与するので熟慮し、アフリカの患者さんにとって一番良い方法を考えています。   

平成23年 4月 岩根美紀