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開院10年を迎えるにあたって

TEXT:副院長  岩根 美紀

私どもの諏訪の杜病院が開院して来年で10周年という節目の年を迎えます。
 私が、諏訪の杜病院に勤務させて頂くようになったのと開院がほぼ同時期でしたので、諏訪の杜病院の歩みと成長を見てきた一人になります。私は、人として看護師として、又管理職者としてもこの諏訪の杜病院で多くのことを学び、経験させて頂きました。

 まず、入職直後に患者様やご家族ではなくスタッフとの様々な問題やトラブルに悩まされ、考えさせられました。人それぞれに考え方や価値観があり、正論が全て通じるものでないことを痛感しました。これまでの自分は、何か問題があると反省はするものの、周りの人や環境に責任転換していたところがあったのですが、等身大の自分と向き合わざるを得ない状況に陥り、自分の至らないところや未熟さ、幼稚さを自覚し、認めた時に、これまで積んできた経験やプライドが粉々に散り、消え失せてしまい、看護師を続ける自身さえも失くしてしまいました。

 そんな私に院長先生が『木っ端微塵になったなら、今から自分の思う色や形に変われるじゃない』とお声をかけて下さいました。その一言に、私は励まされ、気付かされました。それからは、人との繋がりを大切にして、自分の気持ちを自分の言葉で伝える努力をし、目標意識を持って過ごすように心掛けてきました。そして何より、看護観や看護理念をきちんと表明し、志した看護に近づくように、そこだけは譲ることなく実践しました。先生方やスタッフに助けられながら、充実した毎日が過ごせるようになりました。仕事や人間関係等の問題や悩みは、以前と比べても大差ないと思うのですが、不平・不満・愚痴を言わなくなりました。更には、自分自身のスキルアップのために、資格取得を掲げ、仕事の都合上期日は多少延びることはあるものの確実に資格取得は出来ています。このような考え方ができるようになり、前向きな人生が送れるようになったのは、あの時期の経験があったからだと思います。ですから、あの当時私と関わった方たちに、今ではある意味感謝しています。あの経験や院長先生の一言が無ければ、私は変わることができず、色んな意味で不幸だったと思いますから。

 もう一つ、大切なこと、それは人として、医療者として同じ価値観を持った多くの友達やスタッフ達に支えられていることも私が真っ直ぐに挫けず歩くことができる大きな一因です。
 厳しい医療情勢の中、お陰様で看護師不足に悩まされることもなくなり、今年からいよいよ看護の質に集中できるようになりました。自分が色んな経験をしたこともあるとは思いますが、近頃は『大変だな』と思うことより、『よっしゃ!』とガッツポーズを取る方が多くなりました。
 これからも、看護基準や看護体制の変換を実行し、より良い医療・看護の提供を図り、患者様やご家族に満足し、選んで頂ける病院にしていきたいと思うと同時に、スタッフにも人として、専門職者としても知的興味を常に感じられる病院であり続けたいと思っています。『医療を受ける者も、提供する者も共に活きいきと!!』をモットーに明るく前向きに、みんなで力を合わせて頑張っていきますので、これからも宜しくお願い致します。